SferaExhibition

建築・デザイン・アートにまつわる文化的発言の場として、あらゆる媒体によって表現される作品およびその空間を紹介しています。

アルド・バッカー「Time & Care」

「スフェラ・エキシビション」では、オランダ人デザイナー、アルド・バッカー(Aldo Bakker)氏のアジア初の個展となる「Time & Care」展を開催します。

近年、国際的な活躍が見られるオランダのデザイナー達。アルド・バッカー氏は、同世代のオランダのデザイナーの多くに見られるコンセプチュアルで手工芸的なアプローチとは一線を画し、その独自の理念と造形性により、他に類を見ない強い個性を放つ存在ということができるでしょう。

「ミラノ・サローネ」、「デザイン・マイアミ」を始めとするヨーロッパの重要なデザイン・イベントで紹介され、注目・評価の高まるアルド・バッカー氏。

本展は、テーブルウェア、家具を含む幅広い作品をアジアで紹介する初めての個展となります。漆を用いて職人の手仕事により仕上げられた代表作「Urushi series」等、日本との繋がりのある作品も展示を行います。


アルド・バッカー「Time & Care」

会期:2012 2/3(Fri)~2/26(Sun) 11:00~20:00/水曜定休/入場無料
会場:スフェラ・エキシビション(京都/スフェラ・ビル2F)

協賛:在大阪・神戸オランダ総領事館、モンドリアン財団
協力:thomas eyck, Particles


2/4(Sat)にオープニングイベント開催決定!

【アルド・バッカー x 土田貴宏によるレクチャー&対談】

開場15:00/開始 15:30(〜17:30)
参加費 500円(要予約)
デザイン・ジャーナリスト土田貴宏氏を聞き手にお迎えし、アルド・バッカー氏に制作活動にまつわる幅広いお話をうかがいます。

「アルド・バッカー展レクチャーご予約」とお伝え頂き、Eメールかお電話にてご予約ください。定員になり次第、締め切りとさせて頂きます。
E-mail Exhibition@ricordi-sfera.com
Tel 075 532 1105

【オープニング・パーティ】

同日18:00〜20:00にオープニング・パーティを開催します。是非、お気軽にご参加ください。(予約不要/無料)


略歴

www.aldobakker.com

アルド・バッカー(1971年/オランダ(Amersfoort)生まれ)のアプローチは、デザインにおける「人間らしさ(=humanity)」と「非人間的な面(=inhuman aspects)」の境界の探求である。それは、ハンド・ドローイングによる、無限への建築的な探査ということができる。

この主題を持つ彼が、自分を表現する最初の素材としてガラスを選んだことは偶然ではないだろう。 ガラスはいわば「非人間的」な側面があり、完璧な、そして、人工的なかたちを作り上げるにはうってつけの素材である。アルド・バッカーにとっては、視覚的なわかりやすい「人間らしさ」から距離を置く為の手段となった。人間味のある作法とある種完璧で人工的な造形とのコンビネーションは、アルド・バッカーの作品において繰り返されるテーマであり、不可欠の緊張感を与えている。

ガラスを用いたデザイン活動の以前には、彼の両親の職業であるジュエリー・デザインの技術を習得した。数年間もの間、ユトレヒトに在る「Atelier Noyons」のただ一人の従業員だったこともあった。ジュエリー・デザインを通して身に着けたプロとしての忍耐力と完璧さへのこだわりは、現在の作品にも生かされている。
ガラスを用いた製造におけるほぼ全ての可能性を探求し、自身のガラス作品のラインを完成させたのち、アルド・バッカーは、素材としての木と、木を用いた家具デザインに立ち戻った。この時期、彼の初めての大きなプロジェクトとなる、アムステルダムの「Zuid-Zeeland」というレストランのインテリア・デザインを手がけている。このプロジェクトでは、短期間のうちに、椅子、テーブル、そしてガラス製品というレストランという場が必要とする実に多種なアイテムに、作品として命を吹き込んだ。

また、これと同時期に、アムステルダムのギャラリー「Binnen」を始めとし、作品の展示の機会も増え、ミラノやロンドンでの個展も開催された。ロンドンのエキシビションの期間中、著名なオランダのデザイン・スクールである「Design Academy Eindhoven」の「Well being」科のヘッド・ティチャーであったIlse Crawford氏と知り合い、同アカデミーでの教鞭をとるきっかけとなった。

年月を重ねるにつれ、アルド・バッカーは、現代のデザインの分野での自身の作品の位置づけについて、確信を深めてきた。例えば、過去何十年間培われてきた北欧デザインの持つ常識や発展からは距離をおいた。こういった「慣例」や「常識」の裏に潜んでいた当時の制作における彼の精神的な危機は下記の言葉で表現できる。「我々は既に過剰な程のデザインに囲まれているというのに、どうしてデザインをし続けるのか?私達は、形あるものに囲まれすぎていないか。」 既存のデザインの「常識」に対する敏感さと自問の深さを保ち、問いかけを続けることは、制作活動におけるモチベーションとなった。

「Urushi series」のデザインは、このような自問に対する最初のはっきりとした声明であり、アルド・バッカーの活動における新たな礎となった。深い洞察を持ってすると、この「Urushi series」と彼の最初のガラス作品との間には、はっきりとした関連性が見て取れるだろう。この「Urushi series」は、彼の実に複雑な創作手法をフルに活用し、生み出されている。

アルド・バッカー氏は自身の創作について、下記の様に語る。
「私の作品は、永遠に終わりのなさそうな、とてつもなく時間のかかるプロセスによる結果である。このプロセスのほとんどは私の頭の中で行われる。デザインの初期スケッチやモデルはほとんど無い。私のデザインは、オランダ語の「vormgever」、訳すれば「形の贈り主」による仕事だと思っている。この考えは、「クリアなコンセプトがあれば、自動的に興味深いフォルムへ繋がる」という現在のデザインの常識とはそぐわないだろう。
フォルムについての探求を経て、自分の完璧主義な部分が足かせとなっているという状態をある種のあきらめとして受け入れている。この完璧主義が原因で私のポートフォリオは、同年齢のデザイナーに比べて、作品が半数程度しかない。
近年、「本物志向」や「オリジナリティー」という単語は、都合主義的で、雑な使い方をされているように感じる。私自身の言葉の用い方、そして作り上げるフォルムにおいては、これらの言葉と厳密に向き合うようにしている。私は自分のデザインがそれぞれ「自立した単体」であると判断した時のみ、物理的な実体を与える。」

アルド・バッカーにとって、「Urushi series」は新しい始まりであり、そして、終結でもある。 アルド・バッカーは、素材への愛と終わりなき技術の追及により、様々な感覚を呼び覚ますことを目指している。その完璧主義故に、彼の生み出すオブジェクトには、典型的な「手作り感」というものがなく、むしろその反対である。永遠にも思える程のそれらの実現への長いプロセスにより、彼のデザインは、「非人間的」な存在感、モノ自身の存在を問う声を持つ。

(テキスト:Herman Meijer)

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